ビラ配り
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社会人になって二年目の冬。おれはとぼとぼと通りを歩いていた。目の前には去年入社した会社のビルがある。
「新装開店でーす。よろしくお願いしまーす!」
女の子がおれの前にビラを突き出す。おれはそれを手で払いのけ、歩みを進める。が、またすぐに、
「オープンしましたぁ。ぜひお立ち寄りくださぁい」
しつこいな、と思い顔をあげると、目の前で小さな花びらが揺れていた。それはまだ気の早いの桜だった。
「新入社員さん、新年会はこちらでいかがですかぁ?」
新年会と聞いて先輩の言葉を思い出す。
「仕事できないんだから、これくらい頑張れよ」
思わず顔を顰めると、花びらはこう続けた。「花見の場所取りも、大事なお仕事ですよぉ」
「仕事…大事な仕事…」
嬉しかった。仕事を認めてもらえた気がした。だから、
「仕事、もうちょい頑張ってみるか!」
花びらに励まされたおれの足は、舞うようにスキップしていた。
「新装開店でーす。よろしくお願いしまーす!」
女の子がおれの前にビラを突き出す。おれはそれを手で払いのけ、歩みを進める。が、またすぐに、
「オープンしましたぁ。ぜひお立ち寄りくださぁい」
しつこいな、と思い顔をあげると、目の前で小さな花びらが揺れていた。それはまだ気の早いの桜だった。
「新入社員さん、新年会はこちらでいかがですかぁ?」
新年会と聞いて先輩の言葉を思い出す。
「仕事できないんだから、これくらい頑張れよ」
思わず顔を顰めると、花びらはこう続けた。「花見の場所取りも、大事なお仕事ですよぉ」
「仕事…大事な仕事…」
嬉しかった。仕事を認めてもらえた気がした。だから、
「仕事、もうちょい頑張ってみるか!」
花びらに励まされたおれの足は、舞うようにスキップしていた。
公開:25/01/13 18:59
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