オトナのお年玉

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俺の実家はやたらと親戚が多くて、子どもも多い。
久しぶりに帰省したおじさんとしては、お年玉をあげないわけにはいかない。

夜になり、大人はおせち料理をつつきながら、酒を飲んでいた。
聞き流しつつ、ちびちび飲んでいると、気になる話が聞こえてきた。

正月、善行を重ねた者に、村神さまからお年玉が出る。
ふぅん、そういう昔話ね、と聞いていたら、どうも話が違う。
実際にお年玉をもらい、大金持ちになった者がいるというのだ。

ならばと、それから数日。
部屋の片付けをし、壊れた屋根を直し、手伝いをして回った。
すると、村の長老が「今年はお主かの。覚悟しておくとよいぞ」という。

けれど何事もなく、東京に戻って仕事始めとなった。
パソコンを起動すると、大量のメールが届いていた。

そこには、新しい仕事の依頼が並んでいたのだ。
オトナのお年玉は、お金そのものではなく、「お金を稼ぐきっかけ」のようだった。
ファンタジー
公開:25/01/03 23:56

蒼記みなみ( 沖縄県 )

南の島で、ゲームを作ったりお話しを書くのを仕事にしています。
のんびりゆっくり。

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