豆腐の受験

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厳しい競争に晒されている豆腐界。
お客さまに選んでいただくため、質はもちろん価格や安全性も問われていた。

今は固めがトレンドで、誰もが知識を頭に詰め込んで、固い豆腐になろうとしていた。
とはいえエリートは生まれもエリートで、僕みたいな大量生産の豆から生まれた豆腐とは格が違う。
でも、頑張れば良い豆腐になれる信じていた。

仲間が石のように固くなっていく中、僕はふわふわのままだった。
角は少し欠けていた。

塾の屋上で寝転がって、流れる雲を眺める。
僕は豆腐に向かないのかもしれない。
じゃあ何になる? 何になりたい? そもそも豆腐って何だ?
そんなコトばかり考えるようになった。

それから3年後。
僕は引く手あまたになっていた。
雪のように柔らかな豆腐になって、それが人気になった。
自分の頭で考え抜いたせいか、しなやかな思考ができるようになっていたのだった。
ファンタジー
公開:24/12/17 11:11
#研究室ライブ

蒼記みなみ( 沖縄県 )

南の島で、ゲームを作ったりお話しを書くのを仕事にしています。
のんびりゆっくり。

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