居眠り大仏
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物音に目を覚ますと、なにやら頭上が騒がしい。見上げると、2体の人ならざる者らが暴れていた。1人はなにやら襷のようなものをなびかせ、1人はでんでん太鼓のようなものを担いでいる。世界は大嵐。人々は逃げ惑っている。
「おのれ、せっかくの良い心地を邪魔しおって」
怒ったのは大仏である。この大仏も、あろうことか仕事はせず、春の陽気に当てられて、うつらうつらとしていた怠け者である。
「人間たちを災害から救うのが我の仕事。おのれら、散れ!」
刹那、凄まじい雷が2体を打った。その恐ろしさに雲の上のそのまた上へと逃げていく2体の人ならざる者。それに満足した大仏は、またも眠りの世界に入ろうとしていた。
数時間後のこと。再び物音に邪魔されて目を覚ました大仏は、しかし今度は真面目に仕事をしようと心に誓った。寺の大事な屏風から、風神雷神を逃してしまった罪滅ぼしだった。
「おのれ、せっかくの良い心地を邪魔しおって」
怒ったのは大仏である。この大仏も、あろうことか仕事はせず、春の陽気に当てられて、うつらうつらとしていた怠け者である。
「人間たちを災害から救うのが我の仕事。おのれら、散れ!」
刹那、凄まじい雷が2体を打った。その恐ろしさに雲の上のそのまた上へと逃げていく2体の人ならざる者。それに満足した大仏は、またも眠りの世界に入ろうとしていた。
数時間後のこと。再び物音に邪魔されて目を覚ました大仏は、しかし今度は真面目に仕事をしようと心に誓った。寺の大事な屏風から、風神雷神を逃してしまった罪滅ぼしだった。
公開:24/11/25 06:00
更新:24/11/25 01:26
更新:24/11/25 01:26
#正岡子規
#大仏の
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春日かな
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