夢の切手
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おまえがくれたお年玉年賀はがきで切手シートが当たったと、友人がやけに喜んでいた。欲がない奴だなと言うと、
「何言ってるんだ。切手シーツだよ、切手シーツ!」
「切手シーツ?シートじゃなくて?」
「ああ。切手シーツはその名の通り布団に被せるシーツでな、それの上で眠ると、夢の中でいろんな所に行けるんだよ!」
切手シートとの違いは干支ではなく名所絵などだということで、夢の中でそこに行けるとのことだった。
「どんな切手が届くかなぁ」
おれの思考を置いてけぼりのまま、奴は楽しそうに去っていった。
それからしばらく友人に会わないまま、新年度を迎え、また会社勤めの日々が始まった。が、無遅刻無欠勤、サボりを信条としない友人が、仕事に来なくなった。なんでも少し前から眠りから醒めなくなったらしい。
「あの話は本当だったのか」
戻ってこない友人に、おれは年賀状を送ったことを後悔した。
「何言ってるんだ。切手シーツだよ、切手シーツ!」
「切手シーツ?シートじゃなくて?」
「ああ。切手シーツはその名の通り布団に被せるシーツでな、それの上で眠ると、夢の中でいろんな所に行けるんだよ!」
切手シートとの違いは干支ではなく名所絵などだということで、夢の中でそこに行けるとのことだった。
「どんな切手が届くかなぁ」
おれの思考を置いてけぼりのまま、奴は楽しそうに去っていった。
それからしばらく友人に会わないまま、新年度を迎え、また会社勤めの日々が始まった。が、無遅刻無欠勤、サボりを信条としない友人が、仕事に来なくなった。なんでも少し前から眠りから醒めなくなったらしい。
「あの話は本当だったのか」
戻ってこない友人に、おれは年賀状を送ったことを後悔した。
公開:24/11/10 19:08
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