うどん屋の猫
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絶妙な固さと太さで評判のうどん屋さん。そのうまさの秘密を僕はあるとき知ってしまった。なんとそこでは、猫にうどんを打たせているのだ。
「ご存知ですか?猫は寝床に入ると、足踏みをしてふとんを整えるのです。寝心地のよいように、ふみふみと」
ふみふみと、握りこぶしを動かしてみせる店主。なるほどその習性をうどん作りに応用したら、これが見事に当たったということらしい。
うどん作りの秘密を惜しげもなく教えてくれた店主にも惹かれ、僕はそこの常連となった。
あるとき、いつものように店に行き、きつねうどんを頼んだら、いっこうに注文の品が来ない。店の若い給仕さんを呼び止めると、店主に聞いてきますと。
「すみません、今まで修行してきた猫ですが、その成果に満足したようで、」
「ようで……?」
「みずから踏んだうどんを寝床にしてしまいました」
「ご存知ですか?猫は寝床に入ると、足踏みをしてふとんを整えるのです。寝心地のよいように、ふみふみと」
ふみふみと、握りこぶしを動かしてみせる店主。なるほどその習性をうどん作りに応用したら、これが見事に当たったということらしい。
うどん作りの秘密を惜しげもなく教えてくれた店主にも惹かれ、僕はそこの常連となった。
あるとき、いつものように店に行き、きつねうどんを頼んだら、いっこうに注文の品が来ない。店の若い給仕さんを呼び止めると、店主に聞いてきますと。
「すみません、今まで修行してきた猫ですが、その成果に満足したようで、」
「ようで……?」
「みずから踏んだうどんを寝床にしてしまいました」
公開:24/05/09 19:20
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