ヒーローショーの校長の長話

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 待ちに待った修学旅行、その二日目は人気の遊園地だった。先生から集合時間と場所の指示を受けた僕たち6人グループは散り散りに乗り物やらフードコートを見て回る。
「それにしても、やっぱり長かったね、校長先生の話は」
「ね。全国の学校共通なのかな?あの長話は」
「なんだろうねえ。前の校長先生もそうだったし?」
「そうだった、そうだった!」
 みやげ物屋に来ていた僕とりょうちんは笑い合う。おみやげを買って、お化け屋敷でおばけを驚かせて、そうして集合場所に帰ってくると、もうみんな集まっていた。
「遅れてすみません!」
 謝ったが、先生は小さく首を振り、「いいのよ……」と言ってくれた。なんだか疲れたような言い方にりょうちんとふたり首を傾げると、誰かが言った。
「校長待ちなんだよ!」
「校長待ち?」
「そう。校長、さっきからヒーローショーの悪役に説教してるんだ。『いじめはいかんぞ、いじめは!』って。」
公開:24/05/05 01:47
#田丸雅智の ショートショート研究室

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