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 山の奥で、なにやらはじける音がする。
  パチン、コロコロ。
  プチン、コロコロ。
 山を散策していた一組の親子。子どもの方が音に興味を持って父親に言った。ーー僕、ちょっと見てくる!
 父親が止める間もなく、子どもは山を登っていく。父親は知っていた。あれは単なる、どんぐりが木の枝から外れて、地面に落下する音だと。そして、どんぐりが勝手に落ちているのではないということも知っていた。
 父親は呟いた。
「どじょうさま、河童様、うちの子も、たぶんどんぐりも、決して泳ぎが達者ではありません。早く返してくださいな」
 登山口にある小さな鳥居の前にはまるで拝む手のように重ねられた幾本ものきゅうりが供えられていた。
公開:24/04/14 07:26

さがやま なつき( 鹿児島 )

2021年7月初投稿。お話の主人公は男性(もしくは少年)が多め。女性はキャラ作りが苦手です。(口調が書けない)

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