お客様の中に遊園地の方は……?

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「お客様の中に遊園地の方はいらっしゃいますか?」
CAの女性が乗客の俺達に呼びかけた。
ファーストクラスの乗客の少年が長時間のフライトに耐えきれず、「遊園地で遊びたい病」を発症したらしい。
名乗り出ようとしてやめた。俺はかつて人気の遊園地だったが、ブームが去って数年前に閉園した身。今さら何の役にも立てない。
「あなた、あのドリームランドさんじゃないですか?」
隣の席に座る女性が俺の襟元を見て言った。
しまった。シャツの襟からドリームコースターのレールが覗いていたらしい。
俺は仕方なく名乗り出ると服を脱ぎ、アトラクションのひしめく自らの体を急病の少年のために開園した。小さくなった少年が俺の上で遊び回る。

元の大きさに戻った少年が笑顔で言った。
「すごく楽しかった。ねえ、僕の専属の遊園地になってよ!」
彼は大富豪の御曹司だった。
それ以来、俺は彼のもとで一大テーマパークとなって暮らしている。
ファンタジー
公開:24/04/21 23:55
更新:24/04/17 23:34
遊園地

蟲乃森みどり( 太陽から三個目の石 )



空想と妄想が趣味です。

 

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