ですパークからの脱出

2
3

目を覚ますと、地面に倒れていた。
起き上がり周りを見ると、ジェットコースター、メリーゴーランド、ティーカップ。
遊園地のようだ。

歩き出したら、男が声をかけてきた。
「あの、ここはどこですか……ぎゃあ!」
話の途中で、炎に包まれ消えてしまった。

やがて同じ境遇の仲間と出会い、状況が分かってきた。
ここでは、「です」と言うと消えてしまうらしい。

脱出の相談を始めたが、いつの間にか雑談へと変わっていた。
「それで、水曜日のさ……ぐあっ」
消えた。
『それ【で】、【す】いようび』でもダメか。
俺は無言で歩いた。

と、同級生の田出洲舞さんの姿を見つけた。
いいなと思い続けて、声もかけらずにいたがこの状況ならいける!
だが気づいた。「た【です】」さん、なのだ。
──俺は考え、悩み、決意して、下の名前で声をかけた。

遊園地を脱出した俺たちは、教室でも「舞さん」と呼べる仲になった。
ファンタジー
公開:24/04/15 11:21
更新:24/04/17 19:44

蒼記みなみ( 沖縄県 )

南の島で、ゲームを作ったりお話しを書くのを仕事にしています。
のんびりゆっくり。

コメント投稿フォーム

違反報告連絡フォーム


お名前

違反の内容