シャッター通りの妖怪
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ここに住んでいた頃、私はとんだ厄介者扱いだった。ご近所からも、家族からさえ。
そんな私が1人帰ってきたのには、理由があった。除霊の依頼を受けたのだ。私の職業は、霊媒師なのだ。
そこは寂れた商店街。いわゆるシャッター街というやつで、当然どこの店もシャッターを下ろしているーーはずだった。
霊も寝静まったであろう午前4時過ぎ。右手奥のシャッターがガラガラと開いた。私は走った。が、そこに着く前に背後で、真横で、ちょっと先で、次々シャッターが開き始める。ここに人はいない。あきらかに霊の仕業だ。
「なんだ?ここは」
面食らいながら、口の中で除霊の言葉を呟いていく。が、途中でやめてしまった。そこには幼い私が、若い父母が、友達がいたから。
「生霊……」
シャッター街は、ここを捨てるに捨てきれない人々の思いで、今も静かに、生きていた。
そんな私が1人帰ってきたのには、理由があった。除霊の依頼を受けたのだ。私の職業は、霊媒師なのだ。
そこは寂れた商店街。いわゆるシャッター街というやつで、当然どこの店もシャッターを下ろしているーーはずだった。
霊も寝静まったであろう午前4時過ぎ。右手奥のシャッターがガラガラと開いた。私は走った。が、そこに着く前に背後で、真横で、ちょっと先で、次々シャッターが開き始める。ここに人はいない。あきらかに霊の仕業だ。
「なんだ?ここは」
面食らいながら、口の中で除霊の言葉を呟いていく。が、途中でやめてしまった。そこには幼い私が、若い父母が、友達がいたから。
「生霊……」
シャッター街は、ここを捨てるに捨てきれない人々の思いで、今も静かに、生きていた。
公開:24/04/15 07:19
#田丸雅智の
ショートショート研究室
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