スピードと回転

我が遊園地のアトラクションの人気投票を見て、私達はショックを受けた。ジェットコースターはおろか、観覧車にも負けていたから。
「お化け屋敷って、人気ないんすね」
ゾンビの田中君が苦笑いする。
「カップルは悲鳴をあげて抱き合ってるけどなあ」
狼男の佐藤主任が溜息をつく。
「それはただイチャつきたいだけでは」
幽霊の鈴木さんが人魂を指で弾く。
このお化け屋敷の売りは本物のお化けが働いていることなのに。これでは宝の持ち腐れだ。
ろくろ首の私は長い首を回して言う。
「人気のアトラクションに共通する要素はスピードと回転です。私達もその２つを取り入れてみては？」
「そうだな。やってみよう」
佐藤主任の指揮の下、私達は高速で回転しながらお客の前に現れる特訓に励んだ。
そうして迎えたお客の意見は「お化けが皆、必死の形相で回りながら出てくるのマジウケる。全然怖くない」と散々だった。
何がいけなかったのかしら？