ある園長の生い立ち

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施設の老朽化と来客数の減少から、ある遊園地がひっそりと閉園した。その際、施設の中を徘徊していた一人の中年男性が警察に保護された。
彼こそ、遊園地が開園した当初から約40年の間、迷子として行方不明になっていた当時5歳の少年その人だった。
再会を果たした家族は喜びに溢れたが、同時に一つの疑問を抱いた。
「この子は今までどこで何をしていたのだろう?」
家族の問いに男性は答えた。
「遊園地の中に住んでるマスコットや遊具の皆に遊んでもらっていたんだ。毎日楽しくて帰るのを忘れちゃってね。特にラッキーラビットは泣いていた僕に風船をくれて笑わせてくれた」
ラッキーラビットとはその遊園地のマスコットキャラクターだ。家族は誘拐と監禁容疑でラッキーラビットと遊具を刑事告訴することも考えたが、男性がそれを拒否した。
現在、彼はその跡地に新たに開園したテーマパークの園長を務めている。
少年のままの輝くような笑顔で。
ファンタジー
公開:24/04/21 23:55
更新:24/04/11 10:23
遊園地

蟲乃森みどり( 太陽から三個目の石 )



空想と妄想が趣味です。

 

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