闇夜に遊ぶ木馬の涙

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 草木も眠る丑三つ時。はらりと舞って人の姿に変化した梅の花弁が、緑の木馬に静かに寄り添う。
「今宵も来たのか、お梅よ」
 目を開けた木馬は、静かに語り出す。
「のう、お梅よ。今宵は帰ってくれぬか?」
「……」
「わしは今宵限りの命じゃ。そうであると、こう、腹の底が呼びかけるのじゃ」
 はっと息を飲むお梅はしかし、静かな目をしていた。
「女の勘と申すのでしょうか。それと知って、こうして参ったのでございます」
「なにっ?」
「私の命は、ともにあなたとあります。いついつまでも、いつまでも」
 薄く笑って、愛しき木馬に唇を重ねようとするお梅。そのときだった。2人の頭上に、影が落ちる。

「悪しき木馬よ、覚悟!」
「お梅殿もおったか。御免!」
 
 次の日。2人の愛の巣が、閉園を迎えた。切り倒される木馬と梅の木。
 近くの川のほとりだろうか。鴨が一羽、哀しく鳴いた。たった一羽で、哀しく鳴いた。
 
公開:24/03/28 17:09
更新:24/03/28 17:32
哀しき筆頭局長殿 何気にこちらも好きなメンバー 作品タイトルに不満が残るっ!

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