デスティニーランド

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「悪いね。でも、これは、運命なんだ」
 顔の見えないその人は言った。「だって、買ったでしょう?手袋をさ」
 言って、その人は自らの両手を顔の前で振る。
 朦朧とする意識の中、ボクは思い出す。たしかに、買った。ボクの手には大きめの、白黒柄の手袋。目の前の人の手と同じもの。
「これをつけた人はね、みんなボクの所有物になるんだ。そうして、回り続けるのさ。メリーゴーランドとしてね」

 だから、きみには、メリーゴーランドになってもらう。普通のメリーゴーランドじゃない。メリー〝オルゴール〟ランドだよ。

〝そうして、回り続けるんだ、永遠にねーー〟

 その言葉を最後に、生き物としてのボクの意識は飛んだ。最後に見たのは、聞いたのは、降りてくるドーム型のガラスと楽しげな音楽。

ーーさあ、楽しいショーの始まりだーー
公開:24/03/23 18:33
更新:24/03/23 18:51

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