遊具たちの休日

　定休日のはずの遊園地に、楽しげな声が響く。
「お兄さん！早く早く！」
　いつも一緒にいてくれるお兄さんを急かすのは、メリーゴーランドのお馬さんだ。
「ちょっとまてって。ちゃんとネジを外さないとーーさあ、できた！」
「行ってきまーす」
　ポールから解き放たれたお馬さん。お兄さんへの礼もそこそこに、遊園地を駆け回る。遊園地では、乗り物たちが思い思いの場所で笑っている。今日は彼らの休みの日、休園地の日だ。スリル好きなコーヒーカップはジェットコースターへ。休みをもらったジェットコースターの座席は観覧車へ。人を楽しませてばかりいる彼らは、こんな日に思う存分羽を伸ばし、遊び回る。ただしこれにはひとつだけルールがあった。とくにさっきのお馬さんへ。

「こらぁっ！園内の食べ物を食べてはいけませんって言っただろう！」
　お兄さんに怒られて、ペロッと舌を出すお馬さんは、まるで人間の小学生のようだ。