山の覇者
2
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旗を立てよう。
苦節10年、やっとここまで辿り着いた。登頂記念に旗を立てよう。
思えばここまで、苦難の道のりだった。どこまでも続く茶色い大地。突如現れ、行手を阻む緑や黄色の石。苦難の道は、愛しい道でもあった。
「あとはここに旗を立てればーーできた!」
旗を立てた。山岳隊の隊長が歓喜の声をあげる。もちろん新米の私も、嬉しさに込み上げるものがある。
そんな私たちの歓喜の登頂は、思わぬ結末を迎えようとしていた。
突如、大地が揺れた。旗が倒れる。大地は削れ、石が転がる。
島が、沈んでいた。
「さようなら、我が愛する島……」
店の隅の4人席。若い母親が、息子を見ながら微笑む。
「初めて全部食べられたね。えらいわよ」
褒められた男の子は声をあげる。
「おいしかった、オムライス!」
皿から消えた黄色い山。小さな手には小さな旗。
新たな山の覇者に、私は小さく拍手を送った。
苦節10年、やっとここまで辿り着いた。登頂記念に旗を立てよう。
思えばここまで、苦難の道のりだった。どこまでも続く茶色い大地。突如現れ、行手を阻む緑や黄色の石。苦難の道は、愛しい道でもあった。
「あとはここに旗を立てればーーできた!」
旗を立てた。山岳隊の隊長が歓喜の声をあげる。もちろん新米の私も、嬉しさに込み上げるものがある。
そんな私たちの歓喜の登頂は、思わぬ結末を迎えようとしていた。
突如、大地が揺れた。旗が倒れる。大地は削れ、石が転がる。
島が、沈んでいた。
「さようなら、我が愛する島……」
店の隅の4人席。若い母親が、息子を見ながら微笑む。
「初めて全部食べられたね。えらいわよ」
褒められた男の子は声をあげる。
「おいしかった、オムライス!」
皿から消えた黄色い山。小さな手には小さな旗。
新たな山の覇者に、私は小さく拍手を送った。
公開:24/03/15 05:34
更新:24/03/15 05:35
更新:24/03/15 05:35
初めて作ったオムライス
初めて食べ切ったオムライス
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