魚拓のディナー
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部長の機嫌が悪かった。聞きもしないのに、理由を話される。どうやら昨夜の飯の話。出ていた魚が自分のより息子のが美味しそうだったらしい。
「どこがうまそうってお前、奴の魚は、色があるんだ。全部カラーなんだよ!」
「はあ……」
色のある魚?魚ってだいたい色があるだろ。そう、釣りに詳しくないおれが思ったときだった。部長はバッグから数枚の紙を取り出したと思うと、「おっ!」と嬉しそうな声を上げた。
「さすが母さん、息子の部屋から、くすねてきたな」
いや、ありがたやありがたや。そう言いながら部長が箸をつけ始めたのは、見事なカラーコピーの魚一枚と、白黒魚拓の魚が数枚だった。「魚拓の魚は美味しくなさそうって、誰も食べてくれなくてね」部長はぼやいていた。
「どこがうまそうってお前、奴の魚は、色があるんだ。全部カラーなんだよ!」
「はあ……」
色のある魚?魚ってだいたい色があるだろ。そう、釣りに詳しくないおれが思ったときだった。部長はバッグから数枚の紙を取り出したと思うと、「おっ!」と嬉しそうな声を上げた。
「さすが母さん、息子の部屋から、くすねてきたな」
いや、ありがたやありがたや。そう言いながら部長が箸をつけ始めたのは、見事なカラーコピーの魚一枚と、白黒魚拓の魚が数枚だった。「魚拓の魚は美味しくなさそうって、誰も食べてくれなくてね」部長はぼやいていた。
公開:24/07/30 17:17
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