ひつじ石けん
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ある日、夕飯の買い物に商店街へ行くと、羊が後ろ脚で立って石鹸を配っていた。
「新製品、気分爽快〈ひつじ石けん〉の試供品です。どうぞ!」
私も1つ貰ってみた。そばで羊をよく見てみると、体を覆う白いモコモコは毛ではなくて石鹸の泡だった。しかもその両足が地面からわずかに浮いていた。
家に帰ってお風呂に入ると、さっそく〈ひつじ石けん〉を使ってみた。途端にムクムクと白い泡が全身を包み込み、なぜか宙に浮き始めた。
「何これ?」
泡の塊となった私はお風呂場の窓の隙間から外に浮かび出ると、一頭の羊になって夕空をぐんぐんと駆け上がった。
「気分爽快!」
秋の心地よい風に吹かれながら、私は空の草原をどこまでも疾走した。
やがて夕日に金色に染まる雲の群れに遭遇した。目を凝らすと、その雲の一つひとつはすべて羊だった。
黄昏の空を渡る羊雲の群れを眺めていると、冷蔵庫の中でキンキンに冷えたビールの泡が恋しくなった。
「新製品、気分爽快〈ひつじ石けん〉の試供品です。どうぞ!」
私も1つ貰ってみた。そばで羊をよく見てみると、体を覆う白いモコモコは毛ではなくて石鹸の泡だった。しかもその両足が地面からわずかに浮いていた。
家に帰ってお風呂に入ると、さっそく〈ひつじ石けん〉を使ってみた。途端にムクムクと白い泡が全身を包み込み、なぜか宙に浮き始めた。
「何これ?」
泡の塊となった私はお風呂場の窓の隙間から外に浮かび出ると、一頭の羊になって夕空をぐんぐんと駆け上がった。
「気分爽快!」
秋の心地よい風に吹かれながら、私は空の草原をどこまでも疾走した。
やがて夕日に金色に染まる雲の群れに遭遇した。目を凝らすと、その雲の一つひとつはすべて羊だった。
黄昏の空を渡る羊雲の群れを眺めていると、冷蔵庫の中でキンキンに冷えたビールの泡が恋しくなった。
ファンタジー
公開:24/09/01 23:58
更新:24/08/23 13:30
更新:24/08/23 13:30
クラフトビールコンテスト②
泡
空想と妄想が趣味です。
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