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「ねぇ〜、かゆみ止めの薬持ってない?また刺された〜」
 薬の色でところどころ白い肌の友人が、泣き顔で近づいてきた。また刺されたのか、かわいそうに。
「ねえ、虫に刺されない方法、知らないの?」
 聞いてみると、食いついてきた。
「教えてあげる。時間もちょうどいいし」
 言っている間にも、蚊が寄ってきた。友人の肩あたりに止まりそうだったから友人を押し除け、蚊に指を突きつける。
「ちょっとあんた!よくも私の友達を泣かせたわね!今度やったら、許さないから!」
ーーぷ〜ん。
 蚊は友人を刺さずに消えた。友人が呆気に取られた顔で聞く。「なに?今の。言うこと聞いてくれたの?だって虫だよ?」
 不思議そうな彼女に私は言う。
「え?けっこう聞いてくれるよ。それともあれかな?私が教師だからかな。ほら、教師って、1日何度も生徒を指すでしょ。」
公開:24/07/14 17:18

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