いつか卒業する地球

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僕の妹は天才だ。
飛び級して10才で大学を卒業し、難解な学術書を楽しそうに読んでいる。

妹が手伝ってくれて、数年遅れで妹と同じ大学に入った。
心が折れそうになるたび、妹は優しく辛抱強くサポートしてくれた。

やがて、商社に入社した。
影でサポートしてくれる妹のおかげで出世を重ね、世界に名だたる社長の一人になった。

社長室で書類に目を通していると、部屋にファンファーレが響いた。
目の前に白髪の偉そうな老人が現れ、「次の地球に行け」と言われた。

──選択する自由は与えられず、僕は「次の地球」に投げ込まれた。

僕の身体は、小学生の時に戻っていた。
子どもの頃の家には、だいぶ若返った両親がいた。
2階の子ども部屋に行くと、妹が待っていた。

「待ってたよ、お兄ちゃん。人生2回目の始まりへようこそ」

そう言って、天才の妹は微笑んだ。

「あ、私は人生256回目だよ!」
ファンタジー
公開:24/06/21 11:30

蒼記みなみ( 沖縄県 )

南の島で、ゲームを作ったりお話しを書くのを仕事にしています。
のんびりゆっくり。

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