無礼面
4
4
祭りの縁日。お面屋さんで「世界名作シリーズ」というのがあった。息子が欲しいと手にしたのは「ブレーメンの音楽隊」のニワトリのお面。それを買ったらもう何も買わない約束で買ってあげると、嬉しそうにニワトリ顔で歩き回っていた。ーーと、そこまではよかった。
ふと気づくと、息子はおらず、誰かの悲鳴が聞こえた。そちらを見ると、浴衣姿の女性が浴衣の裾を押さえている。それをめくろうとするのは息子だ。
「あの子……っ!」
慌てて駆け寄るが、息子は逃げ、私は女性に平謝りを繰り返す。するとまたどこかで、
「いてぇっ!」
今度は男性の声だ。今度こそ危ない!そう思って走っていくと、泣き顔の息子が走ってきた。
「怖いおじちゃんがいるよ〜っ!」
ふ、と力が抜ける。
その人がどんな人だか知らない。だけど、
「あんたはブレーメンの音楽隊には入れないね」
だって、悪者を退治できない、泣き虫な子だものね。
ふと気づくと、息子はおらず、誰かの悲鳴が聞こえた。そちらを見ると、浴衣姿の女性が浴衣の裾を押さえている。それをめくろうとするのは息子だ。
「あの子……っ!」
慌てて駆け寄るが、息子は逃げ、私は女性に平謝りを繰り返す。するとまたどこかで、
「いてぇっ!」
今度は男性の声だ。今度こそ危ない!そう思って走っていくと、泣き顔の息子が走ってきた。
「怖いおじちゃんがいるよ〜っ!」
ふ、と力が抜ける。
その人がどんな人だか知らない。だけど、
「あんたはブレーメンの音楽隊には入れないね」
だって、悪者を退治できない、泣き虫な子だものね。
公開:24/06/06 19:43
ログインするとコメントを投稿できます