せいご
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同期入社の鈴木は、すごく感じのいい奴だった。仕事はできないけど、上司や先輩に媚びないし、飲み会でも、酔わない程度に呑んで、場を盛り上げてくれる。一生の友達に欲しいくらいの奴だった。
だから、わかる。わかるけど、さっきも言った通り、仕事はできないんだ。正直、俺の方ができる。なのに、奴だけトントンと出世していくんだ。今ではあいつの役職は、俺の部署のトップだ。噂では社長に気に入られて、社長の娘さんと結婚、そしてまた出世ーーなんてことも、ささやかれている。
「なんでだよ〜、なんで、仕事のできないお前が出世して、俺はヒラのままなんだよ〜」
飲み屋で酔っ払ってしまい、その勢いで愚痴る。そんな俺に、あいつは言った。俺の名前は「せいご」だからって。
「知らねえの?釣り好きなのに?『せいご』は『すずき』の幼魚だよ」
鈴木の目は、魚のように、笑っていなかった。
だから、わかる。わかるけど、さっきも言った通り、仕事はできないんだ。正直、俺の方ができる。なのに、奴だけトントンと出世していくんだ。今ではあいつの役職は、俺の部署のトップだ。噂では社長に気に入られて、社長の娘さんと結婚、そしてまた出世ーーなんてことも、ささやかれている。
「なんでだよ〜、なんで、仕事のできないお前が出世して、俺はヒラのままなんだよ〜」
飲み屋で酔っ払ってしまい、その勢いで愚痴る。そんな俺に、あいつは言った。俺の名前は「せいご」だからって。
「知らねえの?釣り好きなのに?『せいご』は『すずき』の幼魚だよ」
鈴木の目は、魚のように、笑っていなかった。
公開:24/06/09 11:44
魚の目って怖くない?
怒ってるのか?
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