真実レンズ

秋葉原のジャンク屋で、平成レトロなデジカメを見つけた。
500円なら壊れていても悪くないかと買ってみた。

コンビニで乾電池を買ってカメラに入れ、大通りを写す。
液晶モニタを確認して驚いた。
人混みに紛れ、荷台を引く馬が写っていたのだ。
他にもくちばしで手提げ袋を持つ鳥、集団の猫が確認できた。

次に秋葉原駅を写した。
バスケットコートで遊ぶ若者が映っていた。もう無くなったものだ。

店員の言葉を思い出す。
「本当の姿が写るんです」

では──私を撮ったら？
レンズを自分に向け、シャッターを押した。
恐る恐る液晶モニタを見ると、あくびをする三毛猫が写っていた。

そうか。私、猫なんだ。

数年後、私はタイでのんびりとその日暮らしをしていた。
たまにデジカメで人を写し、占いのようなことも始めた。
これが好評で、収入源になっている。

夕暮れ時、地元の猫たちと空を眺めるのが、最高の時間だ。