豆を挽く雪だるま
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彼の作るコーヒーは、いつもどこか、甘く切ない。
ここは、極寒の日にだけオープンするコーヒースタンド。疲れた大人の癒しスポットだ。
名物は当然コーヒー。ただし極甘。これは優しい店長が文字通り体を張って作っているからだ。
材料の豆は店長の胸にある無限に現れるボタン。そして水は少しずつ解けていく雪だるま店長自身である。
「今日も頼むよ」
客が言えば、店長はクルクルと回りながら落としたボタン豆を轢いていく、いや、挽いていく。
「今日もありがとう。おかげで癒された。本当にいいのかい?いつもタダで」
「ええ、本物のお金は、私には必要ないので」
雪解けの頃、身を削りすぎた店長は解けていなくなる。世話になった大人たちは、感謝の気持ちとともに弔いをする。
そうして次の冬、またどこかで雪だるま店長は生まれる。
コーヒーが飲めるかっこいい大人になることを願う、小さな子供たちの手によって。
ここは、極寒の日にだけオープンするコーヒースタンド。疲れた大人の癒しスポットだ。
名物は当然コーヒー。ただし極甘。これは優しい店長が文字通り体を張って作っているからだ。
材料の豆は店長の胸にある無限に現れるボタン。そして水は少しずつ解けていく雪だるま店長自身である。
「今日も頼むよ」
客が言えば、店長はクルクルと回りながら落としたボタン豆を轢いていく、いや、挽いていく。
「今日もありがとう。おかげで癒された。本当にいいのかい?いつもタダで」
「ええ、本物のお金は、私には必要ないので」
雪解けの頃、身を削りすぎた店長は解けていなくなる。世話になった大人たちは、感謝の気持ちとともに弔いをする。
そうして次の冬、またどこかで雪だるま店長は生まれる。
コーヒーが飲めるかっこいい大人になることを願う、小さな子供たちの手によって。
公開:23/11/08 08:52
#研究室ライブ
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