亀の甲たわし
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年末になると、ぼくんちは決まってじいちゃんちの掃除をすることになっている。古いお家は危ないからと、去年まで不参加だったぼくも、今年から仲間入りした。そのぼくがシンクの掃除をしようとした時のこと。
「お母さん、これなに?」
たずねると、それは亀の子たわしというもので、むかしはこれが普通だったそうだ。
「ふうん」
チクチクするそれにすこし困ったけれど、新兵器みたいで掃除は楽しかった。鼻歌を歌いながら、しばらく掃除をする。と、だんだんと手の感触が変わってきた。頑張りすぎたかなと手を見てみて、驚く。「お母さん!なにこれ!」
「今度はなに……ああ、それ」
新しいたわしを買わなきゃね。
お母さんはとくべつ驚くこともなく言った。どうやらこれは、普通のことらしかった。
使い古しの亀の子たわしが、やがて普通の亀になることは。しかも文字通り亀の「子」から亀の「大人」になって。
「お母さん、これなに?」
たずねると、それは亀の子たわしというもので、むかしはこれが普通だったそうだ。
「ふうん」
チクチクするそれにすこし困ったけれど、新兵器みたいで掃除は楽しかった。鼻歌を歌いながら、しばらく掃除をする。と、だんだんと手の感触が変わってきた。頑張りすぎたかなと手を見てみて、驚く。「お母さん!なにこれ!」
「今度はなに……ああ、それ」
新しいたわしを買わなきゃね。
お母さんはとくべつ驚くこともなく言った。どうやらこれは、普通のことらしかった。
使い古しの亀の子たわしが、やがて普通の亀になることは。しかも文字通り亀の「子」から亀の「大人」になって。
公開:23/11/03 04:25
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