成長する家
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結婚が決まり、家を出る俺に祖父が無理難題を押し付けてきた。なんと新居は自分で建てろというのだ。無理だというと、土地と材はやるからと、聞く耳を持ちやしない。仕方なく了解の意思で頷けば、渡されたのは細くて小さい何かだった。聞けば自分が今まで飲んできたお茶の茶柱らしい。こんなものでどうやって、と思ったが、2度目の抵抗むなしく俺はそれで家を立てることになった。
家を建てるのには、当然時間がかかった。当たり前だ。
時間がかかるから、当然妻は怒った。疲れが溜まるから、俺も腹が立ってくる。次第に喧嘩が多くなってくるのは、俺たちをよそに周りに高層の建物が増えてくるからだ。
それでもやっと完成したとき、俺たち夫婦はもう爺婆になっていた。
と、完成した家を見た妻の顔が、パッと華やいだ。お茶の香りがするという。その横顔に俺は、これからはこの笑顔を育てていこうと決心した。
家を建てるのには、当然時間がかかった。当たり前だ。
時間がかかるから、当然妻は怒った。疲れが溜まるから、俺も腹が立ってくる。次第に喧嘩が多くなってくるのは、俺たちをよそに周りに高層の建物が増えてくるからだ。
それでもやっと完成したとき、俺たち夫婦はもう爺婆になっていた。
と、完成した家を見た妻の顔が、パッと華やいだ。お茶の香りがするという。その横顔に俺は、これからはこの笑顔を育てていこうと決心した。
公開:23/10/25 14:30
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