滝ビール

　やあ、親友！来てくれたか。いや、悪かったって。こんな朝早くに呼んでさ。でも、聞いてくれ。おれの発見を。そうさ、とうとう見つけたんだ。幻の、ビールが流れ落ちる滝を！
　なっ？すごいだろ？それをお前だけに見せたくて、こんな時間に呼び出したってわけさ。なんせここは元から観光地で、昼間は混み合うからね。人のいない今がゆっくりーーそう、ゆっくりビールを独り占めできるってわけさ！
　ほら、見えてきたぞ。あれだ、あそこ、岩肌の切れ目。見えるか？そう、あの金色に輝く流れさ。あれがビールなんだよ。
　おっと、喉が鳴ったね？早く飲もうぜ、親友。あっ、がぶ飲みしたいからって、滝に入ったりするなよ。さっきそんなことして、お前の先輩がこっぴどく叱られてたぞ。
　そうさ、この滝は、坊さんの滝行には向かねえのよ。