こぶとりじいさん

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 むかしむかしの、お話じゃ。ここいらにそれはそれはお偉い社長さんがおったのじゃ。じゃがその社長、出来が良いから出世をしたものの、自分の仕事には嫌気がさしていた。なぜって、毎日毎日はんこをぺったんするだけだからじゃよ。
 そんな社長の悩みは、老後のことじゃった。引退の日が、近づいておったからの。
 特に趣味もない。はて、どうしたものかと思っていた時、とある者からスカウトを受けた。それはウサギじゃった。しかも月のウサギ。
「あなたのはんこペッタン力を見込んで、我が社の餅つき要員に抜擢致したく存じます」
 まったく驚くべきことじゃったが、一も二もなく月に向かった社長。そこでせっせと働いた。せっせせっせと餅を作り、あらゆる人に配って回った。心労でやつれていたはずの社長は、やる気を取り戻し、肥えていった。そのうえ余り物のお餅じゃ。
 やつれ社長はすっかり小太りじいさんになったということじゃ。
公開:24/02/25 04:31
更新:24/02/25 04:44
社長さんの仕事を 軽んじているわけではありません その方面を知らないだけです 念のため謝罪

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