圏外のクリスマスツリー
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モミの木の森で、誰かが泣いていた。小さな、痩せっぽちのモミの木だ。
「今年も誰にも選ばれなかったな……」
モミの木は嘆いた。毎年この時期、屈強な男たちがモミの木を切りにくるのだが、小さなモミの木に目を留めてくれる人は、今まで一人もいなかった。人気投票圏外だったわけだ。
「いいよな。僕も頭に星を乗せたいな」
モミの木は呟いた。だけどそれは、人気投票一位のモミの木しかできないことだった。
ある時、遠くで人の声がした。その声はだんだん近づいてくる。
「パパ、この木かわいい!」
男の子が言ったのは、僕のことだった。
「それは小さすぎるだろう。こっちに大きなのがあるぞ。パパはあれがいい」
「えー、僕これがいい!」
男の子が言って、手を振り上げた時だった。僕の顔に何かがかかった。僕は叫んだ。「やった!今年の一位は僕だ!」
かかったそれがコンペイトウという星だと知るのは、まだ先のことだった。
「今年も誰にも選ばれなかったな……」
モミの木は嘆いた。毎年この時期、屈強な男たちがモミの木を切りにくるのだが、小さなモミの木に目を留めてくれる人は、今まで一人もいなかった。人気投票圏外だったわけだ。
「いいよな。僕も頭に星を乗せたいな」
モミの木は呟いた。だけどそれは、人気投票一位のモミの木しかできないことだった。
ある時、遠くで人の声がした。その声はだんだん近づいてくる。
「パパ、この木かわいい!」
男の子が言ったのは、僕のことだった。
「それは小さすぎるだろう。こっちに大きなのがあるぞ。パパはあれがいい」
「えー、僕これがいい!」
男の子が言って、手を振り上げた時だった。僕の顔に何かがかかった。僕は叫んだ。「やった!今年の一位は僕だ!」
かかったそれがコンペイトウという星だと知るのは、まだ先のことだった。
公開:23/11/23 12:20
#研究室ライブ
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