つらら侍
10
5
「では、行ってくる」
そう言うと侍は家の軒下に歩いて行き、おもむろに手を伸ばす。突き出た屋根の角にはつらら。それをぼきりと折ると、満足そうに出ていった。
三軒ほど、家を見送ったときだ。通りのむこうで子供らが喧嘩をしていた。侍は駆け出す。「これこれ、やめぬか!何があったというのだ?」
聞かれた子供らは口々に事情を話す。あっちが悪いの、いいやそっちだ、そっちが手を先に、何を言うか嘘つきめ……。侍はため息をつくと、ぬらりとした動きでつららを腰から抜く。と、素早い動きで子供らを……!いや、子供らのちょうど間、空を切り裂いた。
「ほれ、これでもう良かろう?喧嘩は終いじゃ」
子供らは驚き、言葉を継げない。のたりのたりと去っていく侍。
「今日もひとつ、悪しき心を切り裂いたな。のう?つらら剣よ」
そう言うと侍は家の軒下に歩いて行き、おもむろに手を伸ばす。突き出た屋根の角にはつらら。それをぼきりと折ると、満足そうに出ていった。
三軒ほど、家を見送ったときだ。通りのむこうで子供らが喧嘩をしていた。侍は駆け出す。「これこれ、やめぬか!何があったというのだ?」
聞かれた子供らは口々に事情を話す。あっちが悪いの、いいやそっちだ、そっちが手を先に、何を言うか嘘つきめ……。侍はため息をつくと、ぬらりとした動きでつららを腰から抜く。と、素早い動きで子供らを……!いや、子供らのちょうど間、空を切り裂いた。
「ほれ、これでもう良かろう?喧嘩は終いじゃ」
子供らは驚き、言葉を継げない。のたりのたりと去っていく侍。
「今日もひとつ、悪しき心を切り裂いたな。のう?つらら剣よ」
公開:23/11/22 11:02
ログインするとコメントを投稿できます