エール

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膨らんだ期待と云いようのない不安を焙燥した麦芽(モルト)達は、凍りつく白月と満天にきらめく凍て星から溢れ出た玉水と、アオハルの毬花と共に、ぐつぐつと悩み煮沸し、やがて麦汁となる。
そうして、それぞれがそれぞれのフレバーをまとっていく。
百花繚乱のフローラル。
あるいは真夏の太陽の果実のシトラシー。
いやいや、汗と涙の結晶のスパイシー。
夏野の蒼天を駆けるグラッシー。
そうして、世の中のありとあらゆるものを酵母とし、ゆっくりゆっくり発酵して、やがて贈り贈られるエールとなる。
声援(エール)は、何度も口にしたくなるゆえに、あきがない。
その他
公開:23/11/15 15:19

大西洋子( 滋賀 )

ショートショート、童話中心に活動しています。

ショートショートガーデン空想競技2020入賞


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