酒が燃料

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バーで出会った男と意気投合し、すっかり仲良くなった。その店が行きつけだという彼とはそれから何度も遭遇し、毎回楽しく酒を飲んだ。彼はいつも店オリジナルのクラフトビールを頼んでいた。ある日の夜、道端で彼が倒れているのを見つけた。「大丈夫か?」駆け寄ると彼は虚ろな目で僕を見た。「頼む……ビールをくれないか……」「なに言ってんだこんなときに!いま救急車を呼ぶからな」電話をかけようとしたときにはすでに、彼は意識を失っていた。「おい!」と呼びかけても反応がない。恐る恐る体に触れて確認すると、もう脈はなかった。ショックのあまり呆然としていると、そこへバーのマスターがやってきて、おもむろに彼の背中を開けた。そして中に入っていた缶を取り出し、新しいものと交換した。ラベルには彼がいつも頼んでいるビールの名前が書いてあった。背中を閉じると彼は何事もなかったかのように動き出した。「驚いたかい?酒が俺の燃料なんだ」
ミステリー・推理
公開:23/11/10 18:03
更新:23/11/13 21:06

結城熊雄

「言葉であなたの心にそよ風を」をテーマに日々様々な創作に挑戦しています。
プチコン「旅」優秀賞作品 『30秒旅行』 
https://short-short.garden/S-uCTuvb

受賞歴など:https://note.com/yuki_kumao/n/n3e3a08e4b3c3
Twitter:https://twitter.com/yuki_kumao

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