送迎者の夢

6
4

私は毎日、空港に通っている。
今も、あと一駅で空港に着く。
仕事があるので、駅で折り返してしまうのだけど。

──空港!
遠い街へと繋がる扉。

始まる旅路への期待、異邦から着いた者たちの驚き。
そこにいるだけで、旅立ちの空気を感じられる。
私もいつか、旅に出ることができたら。

そんなことを考えていると、空港に到着した。
私のドアが開くと、大きな荷物を持った人たちが、笑顔で空港の建物へと歩いていく。
その背中に、行ってらっしゃい、無事に帰ってきてね、と祈る。

私の仕事は、出発する旅人を空港へ送り届け、到着した旅人を乗せて都心へ向かうこと。
この仕事が好きだし、誇りを持っている。

けれど、密かに夢見ていることがある。
レールを外れて旅立ち、遠い見知らぬ街を見てみたい、と。
ファンタジー
公開:23/03/08 10:03
更新:23/03/31 10:56

蒼記みなみ( 沖縄県 )

南の島で、ゲームを作ったりお話しを書くのを仕事にしています。
のんびりゆっくり。

コメント投稿フォーム

違反報告連絡フォーム


お名前

違反の内容