強盗とヒッチハイク

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俺は強盗をはたらき、盗んだ車で逃走していた。
かなり強引に車を奪ったせいで持ち主にすぐ通報されてしまったから、警察が追ってくるのは時間の問題だろう。このままでは捕まってしまう。

どうしたものかと思案していると、少し先の路傍に青年が大きく両手を振っているのが見えた。
でかいリュックを背負っているし、おそらくヒッチハイクでもしようとしているのだろう。くだらん。
無視して通り過ぎるつもりだったがふと思い直す。
そうだ、こいつを人質にとればいい。
警察が来たとしても人質がいれば優位に立てるし、逃げおおせるかもれない。
俺は車を急停車させ、青年を助手席に乗せた。

「俺は強盗犯だ! 言う通りにしろ!」

そう言って青年は俺に銃を突きつけた。
おいおい嘘だろ? なんて運が悪いんだ。
俺は絶望的な気分で自分も強盗犯であることを打ち明けた。
静まり返る車内。
背後からパトカーのサイレンが聞こえる。
ミステリー・推理
公開:23/03/04 21:58

結城熊雄

「言葉であなたの心にそよ風を」をテーマに日々様々な創作に挑戦しています。
プチコン「旅」優秀賞作品 『30秒旅行』 
https://short-short.garden/S-uCTuvb

受賞歴など:https://note.com/yuki_kumao/n/n3e3a08e4b3c3
Twitter:https://twitter.com/yuki_kumao

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