面倒くさがりのマウス

4
2

わが家の壁には、手の平サイズの矢印が張り付いている。
私が見つめると光り、視線を動かすことで壁や天井、床に沿って動く。

壁のスイッチに矢印を合わせ、目を閉じると「クリック」だ。ぱっと電気がついた。

コレを作ったのは、イスに座ったまま、仕事も食事も生活もしたいと思ったからだ。
専用のメガネをかけると、視線で矢印を動かすことができる。
電気をつけたり、床に落ちているゴミを拾ってゴミ箱に入れたり。
ちょっとした動作を座ったままでできるようになった。

だがある日、矢印がどこかに行ってしまった。
暴走したのだろうか。

仕方なく立ち上がり、家の中を探した。
すると、野良猫が入り込んでいるのに気づいた。
さらにその足元には、バラバラになった矢印が!

「マウス」カーソルを模したためか、猫には弱かったようだった。
ファンタジー
公開:23/02/10 09:51

蒼記みなみ( 沖縄県 )

南の島で、ゲームを作ったりお話しを書くのを仕事にしています。
のんびりゆっくり。

コメント投稿フォーム

違反報告連絡フォーム


お名前

違反の内容