情報ヒューズ

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世界は情報で溢れている。
文字、音、光。五感に絶えず押し寄せてくる。

私は情報を遮断する方法を探し、ある機械と出会った。
小指ほどのバッヂで、シャツのポケットに着けている。
脳に流れてくる情報が一定以上になると、感覚が遮断されるのだ。

散歩中、騒音が限度を超えたら、ふっと音が消える。
SNSを見ていて嫌な気持ちを感じたら、文字が見えなくなる。
その場を離れたり、その動作を止めれば感覚は元に戻る。

この「情報ヒューズ」は、心の平穏を保ってくれた。

恋人とのデートの日も着けていった。
食事をし、喫茶店でおしゃべりをして、幸せな時間を過ごした。
帰り際、恋人は私にプロポーズをしてきたらしい。

らしい、というのは、後日改めて聞いたからだ。
その時私はヒューズが飛び、気を失ったという。

嬉しさという情報が、限度を超えたようだった。
ファンタジー
公開:23/01/31 11:58

蒼記みなみ( 沖縄県 )

南の島で、ゲームを作ったりお話しを書くのを仕事にしています。
のんびりゆっくり。

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