優先度、売ります

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私の部署は、社内のコンピュータに関わるトラブル対応が仕事だ。
リモートワークが増えたため、毎日忙しい。

その上、誰もが「こっちを優先で」と言ってくる。
できるなら全部受けたいが、そうもいかない。
そこで『優先度』を販売することにした。

急ぎの件なら、優先チケットを部署費用で購入してもらう。
残業や昼休みの作業になってしまった分を、スタッフに還元するためだ。
急ぎの時はチケットを買えば、間違いなく優先で対応する。
そうでもない時は、多少待つがもちろん対応する。

導入当時は一悶着あったが、やがてわかりやすいと受け入れられた。

だがいつからか、チケットが常に売り切れるようになった。
調査したら、一人の社員が買い占めていることがわかった。

ある日、その社員が私の席にやってきた。
私の部署の三年分の優先権を買ったという。
自分の会社を起こすので、一緒に来て欲しいということだった。
ファンタジー
公開:23/01/27 14:08

蒼記みなみ( 沖縄県 )

南の島で、ゲームを作ったりお話しを書くのを仕事にしています。
のんびりゆっくり。

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