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「け、結婚してください!」
そう言って私に迫ってきたのは、長年飼っているウサギ、ではなく、長年付き合っているのになかなかプロポーズしてくれなかった彼だった。ウサギと言ったのは、彼がウサギを突き出したから。当然、私は「はぁ?」とちょっとキレ気味に返した。
「なによそれ!なによこのシチュエーション!もっとロマンチックなことできないわけ⁉︎」
激ギレで返すと、彼は激しく首を振った。
「違う違う!これ見て、ねえ!これ!」
「えぇっ?」
彼は言いながら、ウサギの目を指差していた。それがなんだ?
「これ、赤い目。ーー俺さ、まだ指輪を買う金も稼げない男なんだ。だけど、君を世界一幸せにする自信だけはあるんだ!だからーー!」
……なるほど、この前私が綺麗と言った「赤メノウの指輪(代わり)」か。
「わ、わかったわよ……」
 素直になりきれない彼を、素直じゃない私は愛していたんだーーそう、私は思い出した。
公開:23/01/04 11:37

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