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仕事初めの日。私は満員電車に揺られていた。
面倒、混んでる、苦しい、邪魔だな、さまざまな思いが渦巻いている。
人の感情は、思っている以上に周囲に漏れ出している。

だが、私は平気だった。
その秘密は、スマホにストラップのようにつけられた、親指ほどの鏡。
正月に神社で買ったもので、反想鏡というそうだ。向けられた感情を、それを放った本人へ反射する。
おかげで心静かにいられた。

帰宅して顔を洗い、洗面台の鏡に映った自分の顔を見た。
その時、胸元できらりと光る鏡に気づいた。
合わせ鏡は、私の感情を、私自身へと反射した。

一気に流れ込んでくる感情。
それは、私が心の中に抱えていた思いだった。眩暈がした。
私は、こんなものを外に垂れ流していたのか!

黒い感情のスパイラル。
少なくとも、自分は垂れ流すのは止めにしたい。
そんなことに気づいた、仕事始めの日だった。
ファンタジー
公開:23/01/06 13:49

蒼記みなみ( 沖縄県 )

南の島で、ゲームを作ったりお話しを書くのを仕事にしています。
のんびりゆっくり。

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