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あるとき、1匹の野ウサギが男に相談に行った。男の名は西郷隆盛。言わずと知れた、鹿児島の英雄である。その英雄に、ウサギは言った。
「西郷さん、西郷さん!じつは私、来年、卯年の、つまり全国のウサギのまとめ役を仰せつかった者であります!しかし私なんぞ、そんな力はないただのウサギ。そこで鹿児島の英雄たる西郷さんに、英雄としての手ほどきをしていただきたく、やって参りました次第でございます!」
これを聞いた西郷どんは、さあ困ったと、腕を組んだ。そして苦し紛れに「で、では手始めに、わしの散歩の供をするか?」
「は、はい!喜んで!」

こうしてウサギーー卯どんは西郷隆盛の供として、時折散歩に付き合った。そうすると、町人に注目されるされる!しだいにウサギは、自分に自信をつけていった。そして、よく知る供、犬のツンどんは、「これで休める。いやあ、うちの主人はよく動いて困っていたのだ」と、ひそかに喜ぶのであった。
公開:22/12/31 07:57

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