正月へのタスキリレー

私が暖炉の前でコーヒーを飲みながら、行く年をぼんやりと思い返していると、電話が鳴った。
仕事らしい。
年末の大仕事も終わり、あとは新年を待つばかりだったのに、なにか抜けがあったのだろうか。

聞くと、届けて欲しいものがあり、それは私にしかできないという。
荷物の内容を聞いて、なるほどと頷いた。

仕事服に着替え、トナカイを起こし、ソリに乗って私は荷物の到着を待った。
やがて玄関にやってきた虎から、両手に収まるほどの球体を受け取った。
それは、初日の出の素。
本来は干支のウサギが運ぶはずだが、風邪をひいて寝込んでいるという。
虎にお疲れさまと伝え、私は空へと飛んだ。

ニュージーランド上空から、地球をぐるっと一周しながら、初日の出を届けていく。

2023年、新しい年の始まり。
明るく照らされていく地球を眺めながら、私はつぶやく。
Happy New Year！