仁義なきお茶会

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「ほな、あんたら茶祭りにしてやりまひょか」
言うが早いか茶頭は利休好みの棗から抹茶を空中に放った。辺りに居た俺の手下達は、抹茶を吸い込むとバタバタと昏倒した。特製の宇治アシッドだ。並みの者なら一瞬で酔い潰れる。
俺はティーポットから針の様に尖らせたダージリンの茶葉を茶頭に向け連射した。
「ええ発酵や。精進したはりますな」茶頭は紹鷗の茶杓で茶葉を難無く払った。
お返しに茶頭から礫の様な物が飛ぶ。俺の頭を掠めて壁にめり込んだそれは、落雁だった。
だが、ここまでは予想の範囲内だ。俺は隠し持っていた蒸篭から出来立ての包子を茶頭に撃ち込む。
「ホアチャアア!!」
日本の茶菓子にこの熱さは無い。茶頭が怯んだ隙を俺は見逃さなかった。
「これが!中国四千年の功夫茶だ!!」
俺が放った鉄観音の揉捻が、轟音と共に茶頭を直撃した。
勝負は決した。茶頭はがっくりと膝を着いて言った。
「結構なお服加減でございます」
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公開:23/06/03 19:56
茶祭り ご結婚おめでとうございます 茶の実さん

北澤奇実

前回の投稿から一年近く経っていました。びっくりしました。
そしてSSGに初投稿からそろそろ6年です。自分の変わらなさに、改めてびっくりしました。

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