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ちょうど昼時で、腹が減っていたせいかもしれない。外を歩いていたら、不思議な花畑を見つけた。レンゲ畑だ。ただのレンゲ畑ではない。あっちの、中華料理屋なんかでよく見るレンゲの方である。いちめんに広がる緑のところどころに、ぶら下がるようにしてそれは咲いていた。一見すると、百合に見えなくもないが、たしかにレンゲだ。俺は思わず目を擦った。と、心地よいそよ風が吹いたとき、さらに不思議な光景を見た。風に揺れたレンゲがまさしくレンゲのように動き、花粉と蜜を飛ばした。そこに蜂が集まってきたのである。これもまさしくラーメンを食べているよう。
「あー、ラーメン食いたい……」
 呟く。視線を転じると、まずいと評判の中華そば屋の前に、珍しく行列ができていた。
公開:23/05/23 05:43
更新:23/05/23 17:39

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