5
2

親友の翔太は話がうまく、クラスの人気者。
一方僕は話し下手だ。

どうやったら翔太のように話せるか、尋ねてみた。

声を潜め、誰にも言うなよと前置きして、小瓶を見せてくれた。白い砂糖菓子のようなものが入っている。
これを飲むと、何を言われてもすんなりと飲み込める。
落ち着いて話を聞き、言葉を返せるというのだ。
話し上手は聞き上手なんだぜと言われ、そうなのかと頷いた。

翌日。翔太から一つもらい、飲んでみた。
いつも頭に響いていた自分の声──不安、怖い、笑われるかも?など──が消えた。
一日中、落ち着いて返事ができた。

けれど、その夜。
食べ過ぎのようにお腹が痛くなり、翔太に電話をした。

この薬は、言葉が耳から頭に入る時、入りやすくするもの。
入ってからどう処理するかは別で、僕はまだ沢山の言葉を消化できないらしい。

つまり、消化不良。
僕は胃薬を飲んで、布団に入ったのだった。
ファンタジー
公開:23/05/05 11:58

蒼記みなみ( 沖縄県 )

南の島で、ゲームを作ったりお話しを書くのを仕事にしています。
のんびりゆっくり。

コメント投稿フォーム

違反報告連絡フォーム


お名前

違反の内容