薪画家
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少女はいつも、父親にくっついていた。父親の職業は木こり。父親が切って落とした枝で、少女は絵を描いて遊んでいた。
「これはなに?」
父親が聞くと少女は大きな声で、
「観覧車!はじめて行った遊園地で、一番感動した物!」
「じゃ、これは?」
父親がまた聞く。少女はちょっと考えるように、
「あ、思い出した!パパがはじめて作ってくれたオムライス!あれおいしかったな!」
少女の絵の具はいつだって薪や枝。そこに多彩な色はない。けれども感じてしまうメルヘンな画たち。
やがて描き終えた少女は最後に必ずサインを入れる。それを見るたび、父親の胸は苦しくなる。
「いつも聞くけど、これは?」
「キャラメルマキアート!いつか飲みたい物!」
父ひとり子ひとり。昔気質で低収入の男には、カフェ行きは厳しかった。
「これはなに?」
父親が聞くと少女は大きな声で、
「観覧車!はじめて行った遊園地で、一番感動した物!」
「じゃ、これは?」
父親がまた聞く。少女はちょっと考えるように、
「あ、思い出した!パパがはじめて作ってくれたオムライス!あれおいしかったな!」
少女の絵の具はいつだって薪や枝。そこに多彩な色はない。けれども感じてしまうメルヘンな画たち。
やがて描き終えた少女は最後に必ずサインを入れる。それを見るたび、父親の胸は苦しくなる。
「いつも聞くけど、これは?」
「キャラメルマキアート!いつか飲みたい物!」
父ひとり子ひとり。昔気質で低収入の男には、カフェ行きは厳しかった。
公開:23/04/27 06:17
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