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小説家に人気の原稿用紙があると聞いて、早速買いに行ってみた。
「なるほど、これか」
 そのものを見ると、どうやら物語のジャンル分けがしてあるらしい。客の男は、推理小説家だ。当然、推理もの向けの原稿用紙を購入した。
 家に帰り、早速筆を取った小説家は驚いた。物語がスラスラと書けるのだ。つい今朝まで、あんなに書けなかったのに。
 小説家は喜んだ。

一方ここにも、スランプに悩む小説家がいた。しかしこちらは、用紙購入、使用後であった。

「ああ、どうしよう!たくさんのイケメンたちに囲まれてるわ!まさにハーレムよ!」

 この原稿用紙は、書いたキャラクターが具現化し、目の前で動いてくれるのであった。よって恋愛小説を書くのには不向きであるとも、言えなくはなかった。
公開:23/04/30 11:06

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