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何もしないで、ふわふわと暮らしていた。
心地よくて、のんびりで、気に入っていた。

でも、僕は気づいてしまったんだ。

このままではいけない。
規則正しい生活をして、仕事をして、誰かの役に立たなきゃいけない。
そのためにはがんばって……

どうすればいいんだろう?
考えたけど、何も思いつかなかった。

何もできなかった日に、心が苦しくなった。
やらなきゃ。やらなきゃ。
心の中で声が響くようになった。

答えは見つからないまま、真っ白だった僕は、灰色にそまっていく。

やがて、身体はすっかり灰色になってしまった。
おもりが付いているように重く、自由に動けない。

悲しくて苦しくて、僕は泣き出した。
そのとき、身体中から涙があふれ出し、僕のぜんぶは雨になって──地上に降り注いだ。

同じ頃、地上では。
数ヶ月ぶりの恵みの雨に、人々が感謝と喜びの声を上げていたのだった。
ファンタジー
公開:23/04/14 10:13

蒼記みなみ( 沖縄県 )

南の島で、ゲームを作ったりお話しを書くのを仕事にしています。
のんびりゆっくり。

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