春眠蝉
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春眠蝉が棲みついてしまった。あろうことか、俺の耳の中に。
友達から、「春眠蝉が入ってきてさー」と聞いたときは、うらやましいなぁ、と思ったものだった。なぜってそいつが棲みつくと、大学に行かなくていいからだ。とにかく眠くて、動けないのである。
だが今の俺は、その時の俺を殴りたい気分だった。春眠蝉、こんなにうるさかったのかって。
春眠蝉の声は、涼やかな風鈴のようだ。それがなんともいえず、眠気を誘う。音のボリュームは小さいと聞いたが、うるさく感じるのは、耳の中にいるからか。
「ミー……ン…………ミー……ン」
今にも事切れそうだが、ずっと鳴いている。かれこれもう、ーーいや、何日かわからないほどだ。
耳掃除はした。だがダメだった。
病院も行った。薬の処方はされなかった。虫好きな先生で。
「あー、今日も動けねー。眠いー」
ーー結果、俺は大事な単位を落としていった。
友達から、「春眠蝉が入ってきてさー」と聞いたときは、うらやましいなぁ、と思ったものだった。なぜってそいつが棲みつくと、大学に行かなくていいからだ。とにかく眠くて、動けないのである。
だが今の俺は、その時の俺を殴りたい気分だった。春眠蝉、こんなにうるさかったのかって。
春眠蝉の声は、涼やかな風鈴のようだ。それがなんともいえず、眠気を誘う。音のボリュームは小さいと聞いたが、うるさく感じるのは、耳の中にいるからか。
「ミー……ン…………ミー……ン」
今にも事切れそうだが、ずっと鳴いている。かれこれもう、ーーいや、何日かわからないほどだ。
耳掃除はした。だがダメだった。
病院も行った。薬の処方はされなかった。虫好きな先生で。
「あー、今日も動けねー。眠いー」
ーー結果、俺は大事な単位を落としていった。
公開:23/04/02 18:32
眠〜い(私が。笑)
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