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引っ越しのご挨拶なら、これを持って行きなさい。そう言って祖母が渡してくれたのは、白くて長い、エノキのようなキノコだった。「のような」としたのは、エノキにしては太かったから。これではまるでエリンギだ。
「エリンギでもないよ。それは『エンノキ』という」
「エンノキ?なにそれ、聞いたことない」
「エンノキはね、太く長いお付き合いをしたい方に渡すと、それが叶うという、ありがたいキノコなんだよ」
 そう聞いて、僕は少し、情けなくなった。僕のコミュ症、ばあちゃんにもバレてる。
 引きこもりだった僕も、4月から晴れて新社会人。住み慣れた家を出て行く。初めての一人暮らし。初めての……ことだらけ。
「これでおまえも、ひとりじゃないよ」
 優しく言うばあちゃんの目は温かい。ーーでもね、と思う。
 
 でもね、ばあちゃん。これさ、

  



まずは近所の人に渡しに行くという難関があるよね……。
公開:23/03/25 07:14

さがやま なつき( 鹿児島 )

2021年7月初投稿。お話の主人公は男性(もしくは少年)が多め。女性はキャラ作りが苦手です。(口調が書けない)

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